ミンサー柄縁結び帚を丁寧に作る時間を楽しむ

農家の冬の手仕事として続いてきた箒作りの製作体験ができる。洋服の手入れ、棚や机周りの掃除などに使え、ミンサー柄の模様は、人と人とを結ぶ「縁結び」の意味も持つ。本業が農家の作り手から教えてもらえるので、原料の栽培のお話なども聞くことができる。
藤本 茂吉
 
【体験】縁結び箒づくり体験
【問合せ先】二戸市観光協会 0195-23-3641
【料金】ミニ1800 円 小箒4500 円(体験場所によって別途場所代料金あり)
【体験可能期間】1~2月末くらい
【可能時間】9:00~16:00
【所要時間】約2~4時間(工程に応じて調整も可)
【人数】1名から 2週間前までに要予約

フジモト シゲヨシ

取材日 INTERVIEW 2018.1.8 ※施設情報、入荷状況や価格は取材時のものです

人と人との縁が箒を介して、広がっていく「縁結び」の箒

二戸市浄法寺町の藤本茂吉さんが作る箒は、「縁結び」の箒だ。箒の持ち手の模様が、沖縄に古くから伝わるミンサー織の柄に編まれている。ミンサー柄の五つと四つの模様の組み合わせは、女性が男性に贈る際に「いつ(五つ)の世(四つ)までも末永く」という意味や大切な人へ贈るお守りのような意味が込められているそうだ。茂吉さんは、人と人とのご縁を大事にする、という意味を込めて、この柄を織り込んでいる。柄のカラフルな色合いが、お洒落な箒だ。

箒作りという地域の文化や伝統技術そのものを体験して欲しい、学んでほしい

販売用の箒も製作しているが、今は製作体験をメインに活動をされている。製作できる箒のサイズは様々。キーホルダーになるような本当に小さなミニサイズや、パソコンやデスク回りを掃除できるミニサイズ、ちょっとした部屋の掃除や洋服の手入れにも使える小帚(上記写真)、希望があれば床掃除のできる通常の大きいサイズの箒製作にも対応している。

観光で来た個人のお客さんでも、地域の集まりなどちょっとしたグループでも、箒作りに興味がある方なら、どなたでも。年齢も、手順が理解できるようになる、小学生くらいからOK。
 

対応可能な人数は、作るサイズや時間にもよるが、最大で5~10名程とのこと。ミニ箒の場合は、出来れば数名での申込だと有難い、とのこと。体験場所は、人数に応じてご相談。通常は基本的な作業は茂吉さんが準備をしたうえで、始めるので、かかる時間は4時間程度が目安。ただ、希望にも合わせていて、もっと短い時間でやりたい場合は、基本作業をもう少し進めた状態で始め、逆に本当にイチから箒作りをしたい人には、それに合わせて教えている。観光で長野からやってきた人もいれば、中には、自分でも作れるようになりたい、とやってきた方もいるそうだ。

体験の時期は、昔から箒作りの行われる冬場、1~2月。原料になるホウキモロコシのその年の収穫量にもよるので、冬が近づいてきたら問合せは可能。
箒の販売は、作品の数がある時は、金田一温泉のおぼない旅館に納品している。体験にきたお客さんに、希望があれば、販売していることもある。手仕事や工芸品は、地域に数多くあれど、製作体験ができる作り手さんや工房は多くない。その中で、製作体験に力を入れてきたのは、箒作りという地域の文化や伝統技術そのものを一緒に体験して欲しい、学んでほしいという茂吉さんの想いがある。

周囲に引っ張ってもらって始まった製作体験やワークショップ

茂吉さんの本業は農家。国産漆でも有名な浄法寺町に代々続く農家で、葉タバコや米、露地野菜の栽培をメインに、短角牛の繁殖なども行っている。箒作りは、昔から農家の冬の手仕事。自家用や、親戚に譲ったりして、地域の多くの家庭に手作りの箒があった。「楽しみでもあったんじゃないかな。冬場に知り合いで集まって、箒を作って、作りながらお喋りしたり、お茶したり」。

茂吉さんは、数年前に地元にUターン。家業を継ぎながら、親戚に箒の原料になるホウキモロコシの栽培をお願いされ、手の空く冬場に、自分でもやってみようと、作り方を教えてもらったのが始まりだった。「昔の人だから、教えてもらうんじゃなくて、一度一緒に作ってみて、あとは、自分でいろいろやってみる、っていう感じでしたけどね」と笑う。祖父が箒を作っていたのを小さい頃に見てはいたが、作るのは初めて。「何かを作るってことが、わりと好きだったからですかね」。

 

とはいえ、最初から、箒の販売や体験を念頭に置いていたわけではない。作ってはみたけれど、商売になるものでもないしな、と思っていたところで、観光協会のスタッフさんに、移住定住ツアーのワークショップの話を持ち掛けてもらった。そこで、周囲に「引っ張ってもらった」おかげで、製作体験やワークショップを行うようになったという。今の小さいサイズの箒を作るようになったのも、そういった場で時間内にできるようにと考えたからだ。ミンサー柄も最初からそう思って編んでいたわけではない。試行錯誤の末に出来上がった編み目を、SNSで紹介していた時に、「それ、沖縄のミンサー柄ですね」とコメントがついた。「ミンサー柄って何だろうと思って」。そこから、ミンサー柄を意識するようになったのは、縁結びの意味にも惹かれたからだ。「この箒を介して、縁が広がっていくっていう、のかな。今日の取材もそうですけど」。活動が広がっていくのは、試行錯誤を続ける茂吉さんの行動力もある。

サイズに合わせたホウキモロコシを育てるところから、製作が始まる

茂吉さんの作る箒は、各家庭で昔から作られていたものよりも、試行錯誤を重ねている。よく塵を絡めとることができるように、ホウキモロコシは良いものを細かく選別して、揃える。より多くのホウキモロコシをきつく縛って、束ねることで、箒そのものにも厚みが出て、しっかりしたものが出来上がる。


もちろん、原料になるホウキモロコシは、自家栽培。栽培は、まだ試行錯誤の「途中」とのことだ。箒のサイズが大小様々なので、小さな箒には、細いホウキモロコシが必要な時もある。植物としては、成長のあまり進んでいない状態のものだ。種まきの時期をずらす等して、わざと細いものを作る一方で、大きな箒を作るためには、しっかりと成長をさせた太いものがいる。年によって、需要がありそうな方を多く栽培するようにしているが、全体的な収穫量も考える必要がある。

箒1本を作るのは、数時間。けれど本当は、畑の部分から考えれば、箒を作るのには1年がかりだ。収穫したものから、葉なども綺麗に取り、乾燥をさせ、脱穀もし、選別をし、箒を作ることのできる状態になる。

 

100本栽培したとしても、その100本を使って1本の箒ができるわけではない。長さや太さ、縮れの具合を選別して、それぞれのサイズ用に選別する。節があると途中で折れてしまうこともあり、曲がったりしているものは、はじく。8月から9月にかけて収穫した後、選別には、こだわっているため、かなりの時間をかける。でも、見ているといろいろな形があって、「面白い」とも茂吉さんは言う。


体験では、そういうことも知ってほしい。自分たちが手にしているものが、いったいどこから来て、どういうものなのか。箒作りの技術に興味をもってもらえればいい。キーホルダーにも出来そうなくらいの小さな箒だと、お客さんの中には、実がついている方が面白いという人もいる。

見ていると簡単だが、ホウキモロコシを束ねるのにはコツがいる

ミニサイズの箒で、模様を編むのを、少しだけ見せていただいた。
持ち手になる茎の部分は、先にお湯で柔らかくしておく。穂先と一緒に束ねて、途中で折り、そこから模様を編む。茂吉さんは、迷うことなく、スイスイと編み込んでいくのだけれど、見ている取材スタッフの頭の方がついていかない。完成形の模様を見たはずだが、ここで糸を表に出して、ここは、あれ…?「お客さんも、見ている分には簡単に見えるみたいだけど、やってみると難しいって言われますよ」。

 

糸で束ねるところでも、きつく縛るのにはコツがいる。茂吉さん自身も、製作過程で一番難しいのは、束を揃える部分だという。長さや太さなどを揃え、ふくらみも出るように、多くの本数を束ねてきつく縛る。力も必要だが、どちらかというとコツが必要な作業。

 

体験では、どうしても難しい時は、茂吉さんが仕上げは手伝って、完成をさせる。

栽培や製作だけではなく、教える技術も、試行錯誤中。最初にワークショップの話を持ち掛けられた時も「いやいや、(教えるのは)無理無理って思ましたもん。今でも最初からそう言ってよ、とか、ちょっとやってみせてもらえると、って言われます」と笑う。
 

その中でも、体験を続けてきたのは「作ってよかった」と参加した人に言われたから。プロのような見た目ではないけれど、自分の作ったものに感動をしてもらえる。お客さんも作っている最中は「あー失敗した」とうまくいかないことに苦戦するが、出来上がってみると「いいもの作ったな」と思ってもらえる。本当に作りたい人に作ってもらえるのは嬉しい。

伝統技術だから、自分だけ持っていたって仕方がない。いろんな人に広まった方がいいんじゃないかと。

自分で箒を作るときは、出来上がったときの達成感と、それを評価してもらえる、ということが続けている原動力にもなる。「いまだに、これでいいのかなって思うところもある」。試行錯誤が日々続く。

 

今後は、本格的に商品化をしていきたいという。もちろん夏場は、本業の農業が忙しいが、冬場の仕事は「箒作り」にできるよう技術力をあげて、認められるような箒を作っていきたい。「価値をつけるには、何かが必要だと思うし、ただ高い値段をつけて売れるわけでもない。お遊びじゃなく、存在を確立させていかないと」。需要があればですけどね、と笑って話す茂吉さんだが、具体的なアイディアも茂吉さんの中にはある。
代々、農業を続けてきた茂吉さんの家には、「麹屋」という屋号があるのだが、それを箒でもブランドにしていきたい。


体験やワークショップも同じくだ。技術は惜しまないで、伝えていくつもり。「伝統技術だから、自分だけ持っていたって仕方がない。いろんな人に広まった方がいいんじゃないかと」。茂吉さんのような若い世代で、本格的に箒作りに取り組む人は、この地域では少ない。ただ、箒を作るだけじゃなく、きっといろんな想いや地域のこと、昔から伝わる技術のお話が聞ける体験になるはず。

希望の方は、まず冬が近くなったら、お問合せを。

取材日 INTERVIEW 2018.1.8 ※施設情報、入荷状況や価格は取材時のものです

二戸地域雇用創造協議会

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