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日本のエッシャー、トリックアートの世界に迷い込む

世界的なグラフィックデザイナー福田繁雄氏の作品が見学できる。視覚トリックを取り入れた立体作品は子どもも大人も楽しめ、屋外や地域内にもその作品が隠れている。
福田繁雄デザイン館
二戸市石切所字荷渡6-2 二戸市シビックセンター2F
0195-25-5411
9:00-17:00(入館は16:30まで)
(休 : 月曜、祝日の翌日、年末年始)
https://www.nbsk.or.jp/fukuda/
[入館料]
高校生以上  200 円(3F田中舘愛橘記念科学館 共通券 360円)
小中学生   100 円(3F田中舘愛橘記念科学館 共通券 180円)
※幼児無料

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フクダシゲオ

取材日 INTERVIEW 2018.10.31 ※施設情報、入荷状況や価格は取材時のものです

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世界的なグラフィックデザイナー福田繁雄氏のトリックアート作品世界に迷い込める場所

二戸市にある「福田繁雄デザイン館」は、二戸市出身だった世界的なグラフィックデザイナー、福田繁雄氏(1932-2009)の作品を3000点以上、所蔵。その中から、代表的な作品を選んだ常設展とテーマに合わせて選んだ企画展を開催している。視覚トリックを取り入れたアート作品が、立体作品やポスターを中心に展示されている。

「日本よりも、海外の方が、人気があるかもしれません」。取材対応してくださったスタッフの尾田川さんの言葉に、あまり存じ上げなかった取材スタッフも、どきっとしながら頷いた。日本のエッシャーとも評され、特徴的なのは視覚トリックを用いたトリックアートの作品。

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デザイン館、美術館というと、改まって見学するような固いイメージかもしれないが、「美術館とかはどうしても敷居が高いところもあると思うのですが、福田先生の作品は、頭を使うというか、視点を変えて楽しめるアート。大人はもちろん、子どもにこそ見て欲しいなと思います」と尾田川さんも話す。

 

その言葉通り、ここは、何だか楽しい作品ばかりだ。

見ているうちに、ああ、こういうことかとわかって、思わず笑ってしまう

道路と反対側の入り口から、デザイン館のあるシビックセンターに入ろうとすると、最初に出会える屋外の立体作品。

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独立した棒状のモニュメントそれぞれを、ある視点から見ると、お顔が見えるという仕掛け。点描のように見えるが、ちょっと違っていて、それは近づいてみてのお楽しみ。ヒントは、田中舘愛橘先生が発案した文字。

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シビックセンターの2階にあがると、そこが屋内の展示室。頭を柔らかくして、見たい作品ばかりだ。角度を変えてみると、全く違うものが見えてくる立体作品。

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金属のナイフとフォークがごちゃっと集まっているだけのはずが、照明を当てると何故か影はバイクの形になるもの。

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ちなみに、尾田川さんが最初に見て、何だろう…と思ったのはこれ。館のスタッフさんでさえ、最初見るとこれは、何だろう…と思う作品もあるそうだ。それが見ているうちに、ああ、こういうことかとわかって、思わず笑ってしまう。

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展示のポイントは、「いかに楽しんで見てもらうか」

展示されているものはごく一部で、展示品が変わるたびに驚く。

 

世界の国旗で描かれたモナ・リザ。鏡に映すと、よくわからなかった立体作品がちゃんとピアノやお弁当箱に見えてくるもの。ちなみに尾田川さんは、注ぎ口が7つあるポットや変わった形のカトラリーなど「使えない食器」という作品シリーズもお好きだそう。「売っていたらちょっと欲しいですよね。お客さんに冗談で出してみるとか」と笑う。

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二度見どころか、三度、四度と見てしまう作品ばかりだ。

この日は、次の企画展の準備中で閉館中だったが、お邪魔させていただいた。準備途中を拝見させていただくも、取材スタッフの想像力が足りず、最終形態は謎なものも。

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年に数回変わる企画展示の展示内容は、外部の先生にご協力を頂きながら、最終的な展示位置などは館のスタッフさんが考えられている。ポイントは「いかに楽しんで見てもらうか」。かしこまった形ではなく、気軽に見て欲しい。今回は若手のスタッフさんが、配置を担当されていた。

ものすごい広さがあるデザイン館ではないが、その分、企画展ごとに全く違う作品が入れ代わる。1人でも、ふらりと入っていけるので、企画展のたびに来ても楽しめる。

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二戸、一戸、軽米、九戸の地域全体でアート巡りができる

そして、福田繁雄先生の作品が見られるのは、デザイン館だけではなく、カシオペア地域4市町村に散らばっている。クラフトマップの巻末地図にも、掲載されているので是非、アート巡りを。珍しいお寺にある立体作品、ショッピングセンターの案内板、駅の壁画、二戸市民文化会館では、立体作品やタイルアートなども見ることができる。

こちらは、旧浄法寺町を含めた5市町村に設置されているモニュメントの1つ。これも横から見るのと、正面から見ると形が違う。さて、何に見えるやら。

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スタッフの尾田川さんは、こちらに長くお勤め。福田繁雄先生にお会いしたこともあるという。福田繁雄先生は、戦時中、東京から疎開し、母の実家だった二戸に高校まで暮らしていた。グラフィックデザイナーとしてポスター等を手掛け、やがて視覚トリックを用いたデザインや立体作品を製作するようになる。国内外でも数々の賞を受賞した。

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日本のエッシャー、トリックアート、視覚トリック、技術とユーモア、アイディア、遊びごころ、等々、福田繁雄氏のデザインを表現する言葉はいろいろある。

だが、尾田川さん曰く、まだデザイン館の知名度は高くなく、大人はもちろん、子どもの方にも来てほしいという。「もしかしたら、大人より子どもの方が発見は多いかもしれないです」。

 

自分が普段見ているもの。
そこに隠れているもの。着眼点を変えてみること。

福田繁雄先生が、どんな意図で作った作品かはわからない。

けれど、静かに鑑賞する、というよりは、作品と一緒に楽しんで見ること。
その後ろで、福田繁雄先生が笑っているかもしれない。

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デザイン館のうえの3階には、田中舘愛橘記念科学館もある。こちらもじーっと展示を見るというよりは、シャボン玉の中に入るなど実験スタイルの展示が多く、子どもも大人も楽しめる場所。

最後に、帰ろうと思って、建物の屋根を見上げれば、ここにも福田繁雄先生の作品が。是非、探してみて。

 

頭を柔らかくして、発見して、楽しんで。
トリックアートの世界が待っている。

取材日 INTERVIEW 2018.10.31 ※施設情報、入荷状況や価格は取材時のものです

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