港町生まれ、真竹で作る「しょいかご」や手提げかご

町内で唯一、真竹で竹細工品を製作し、卸売も行う工房兼店舗。昔から港町で使われる背負いかごをはじめ、現代的な手提げかごや物入かごなどがある。民藝品として近隣のイベントにも出展しており、欲しい作品が決まっている場合は事前に問合せがお勧め。
上平竹細工店
 
一戸町一戸字小井田78-15    0195-32-2241
9:00-12:00、13:00-18:00 頃(日曜休み)

​カミタイラタケザイクテン

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取材日 INTERVIEW 2018.12.5 ※施設情報、入荷状況や価格は取材時のものです

背負いかご、手提げかご、整理かご等、毎日使う生活道具を竹で作る

一戸町にある、町内で唯一、真竹で竹細工を製作する上平竹細工店さん。鳥越の竹細工とは異なり、八戸などの港町で有名な「イサバのカッチャ」たちが持つ「しょいかご」を作り、民藝の本にも載る有名で、数少ない作り手さんだ。実は鳥越の竹細工にも欠かせない工房さんなのだが、その話は、また後程。

一戸町の高校のグラウンドのすぐ近くにある、上平竹細工店。もともとは、卸が基本だった工房さんだが、建物の一部は展示スペースとなっており、見学が可能。中には、他地域で購入したものや、昔に作った作品なども展示されている。

今も民藝店への卸や近隣のクラフトイベントでの販売が多いため、作品が全ては揃っていない場合もあるが、工房で個人への販売も行っている。既成の作品であれば、個人からの発注も承っており、発送も可能。電話での注文も可能だが、その際は、どの雑誌やサイトで見かけた、どの作品かを指定すると話が通じやすいとのこと。工房で相談をして、後日送ってもらう、というのもあり。オーダーの場合は、2・3か月程かかる。

代表的な「しょいかご」。背負いかご、市場かごと呼ばれるかご。

今も港町の市に行くと、これを背負ったおばあちゃんやおじいちゃんを見かける。逆に、竹細工などの手仕事が好きなのであろう若い人が、買い物かごとして使っているのも、見かけることがあるし、作業用のかごとして使う人もいる。沿岸でも作り手さんは減ったという。

大き目の物入かご。

けっこう大きいサイズなので、整理するには便利。今はまだ、青い竹が、使っていくうちに飴色になっていく。その過程を楽しみ、馴染ませ、丁寧に生活の中で使う人も多い。

手提げかご。丸みを帯びた姿が、お洒落。

浅めの手提げかご。お酒の瓶など、ちょっと長めのものを入れるのに便利でお洒落。

手つきの物入かご。浅めなので、細々した生活用品を整理できる。

少し深めの整理かご。ちゃんと物をしまっておくのに使える。

長椅子。庭や軒先にあると、ちょっとお洒落。

上平さんが、少し笑いながら見せて下さったのが、竹で作った小さなヘラと箸。「なっとうかます」と「さいばす」。「かます」は方言で、かき混ぜること。菜箸は、語尾が訛ると「す」になる。一瞬、きょとんとするが、意味が分かると、思わず笑った。「笑ってもらえるようなネーミングをつけないと」と考えられたそう。

「なっとうかます」は、名前通り、納豆を混ぜてもいいし、おかずを混ぜたり取り分けたり。取材スタッフも使っているが、味噌を取ったり、瓶の奥に入ったおかずを取ったり、ちょっと炒めるのに使ったり。スプーンなどよりもしっかりしていて、ヘラよりも小さいので使いやすい。菜箸も、市販されているものよりは短く、普通の箸よりは長く、ちょっとした炒め物や混ぜ物に便利。

背負いかごがよく売れた昔とは異なり、今は必ずこれが売れるという定番はなかなかない。「だから、いろんなの作らなきゃない。そう、うまく売れるのは見つからないから」。

真竹を均等に割り、編む作業に使えるよう準備できるようになるまでも修行

上平竹細工店を経営されているのは、ご兄弟。お兄さんの福也さんと弟さんの敬さんだ。工房で日々制作され、クラフトイベント等での販売もお二人で行う。

制作は、真竹を仕入れるところから始まる。岩手県内では、真竹が手に入らないため、今は県外から真竹を仕入れるそうだ。

倉庫に積み上げられた真竹は、凄い量。この真竹を、それぞれの用途に分けて割るそうだが、ここから技術が必要。「(編むよりも)割る方が大変。寸法考えたりしないといけないし、編むまでの材料をちゃんと作るのが大変」と福也さんは言う。竹によっても、柔らかいものも堅いものもある。そのあたりも見極めながら、それぞれの材料にする。

真っすぐ均等に綺麗に割れなければ、編む作業には使えない。竹の節が編んだ時に、曲がる角に当たらないように計算もしつつ、長さを調整する必要がある。工芸品の多くが、材料となる自然素材の準備に時間とスキルを要するが、真竹も同じだという。「これができれば一人前」。

割った真竹そのものも、地域の手仕事には欠かせないもの

割った竹は、上平竹細工店で使うのがほとんどだが、一部は、鳥越地区のスズタケで作る竹細工の作り手や漆掻きをする際に使う桶の作り手に渡る。スズタケの竹細工では、手提げかご等のフチに強度のある真竹を使うためだ。それも、上平竹細工店さんの昔からの生業。地域の他の工芸品とも、非常に縁の深い工房さんだ。
「竹を割ったのと、背負いかごを作っていれば、ご飯を食べられた時代もあった」という。桶屋さんや大工さんが竹を買いに来たり、今でもお正月の飾りを作るために購入されることもある。

真竹そのものを扱う業者さんも減ってきた。昔は、畑で使う支柱や枠にも竹が使われており、そこでも必需品だった。

割った竹を、工房でさらに削り、均一で薄く細くしていき、竹ひごを作る。均一に削らなければ、編んだ時に作品が、いびつな形になってしまう。指や手の感覚、これまでの経験で削っていくといい、迷いなく淡々と作業をされる。長さや重さもあり、扱うだけでも大変そうに見えるが、お二人はお話を伺う最中も、流れるように削っていく。

竹ひごができあがると、編む作業に入る。ひょいひょいと編んでいくように見えるが、頑丈さのある真竹。細くしたといっても、編むには力も必要だ。「慣れてきますよ」と敬さんは言うが、手さばきに驚くばかりで見入ってしまう。

背負いかご等が生活の必需品だった頃は、制作が間に合わないほどだった

上平竹細工店は、福也さんと敬さんが2代目で、父親が始めた工房なのだそう。父親が沿岸地域にあった真竹の竹細工店で修行をし、そこで背負いかごや大きめのかご等の技を覚えた。戦後は実家に戻り、竹細工を始め、やがて今の場所に工房をかまえた。

職人も抱え、竹細工は日々の生活道具として、よく売れていったという。20年ほど前までは、一戸や二戸にも、作り手さんから竹細工などを買い取り、他地域で販売する業者さんがあった。

プラスチックなどの代替品が入る前は、背負いかごはもちろん、整理用かご、ちょっとした物入など、何から何まで自然素材で作られており、必需品だった。「兄貴と親父が作ってた頃は、すごかったんですよ。毎日、毎日、背負いかご作って。それでも間に合わなかった時代だから」と敬さんは当時を振り返る。敬さんは、別の仕事をした後、戻ってきて一緒に竹細工を作るようになった。

本当に日常の家や仕事場での必需品だった竹細工。最近では、工芸品として取り上げられることも多く、取材スタッフも伝統の職人さんにお会いするということで緊張していたが、お二人ともあまり意識はしたことがなかったという。


誰もが毎日の暮らしに使うものを、生きていくために作る。

地元の人には、昔、喫茶店や駄菓子屋だった「たけやさん」としても知られる

竹細工以外に、お店を開いていたこともあった。2階に竹細工の工房、1階は喫茶店をやっていたことや、駄菓子屋さんだったこともあるそう。今でも上平竹細工店さんのことを、「たけやさん」と呼んでいた頃のことをよく覚えている人は多い。「まだ、子どもが町に多かったから、賑やかでしたよ。いたずらしたり、その辺、走って、おばちゃーん!ってやってきて、凄かったんですよ」と敬さんは笑う。その頃の子どもが、今は40代50代くらいだ。喫茶店では、焼きそばや焼うどん、ハンバーガー、かき氷などもあった。「今でも、お祭りなんか行くと、うちの焼うどんが食べたい、とか言われる」。

プラスチックのように代替品が増え、日常での需要は減ったが、竹細工の良さに魅了される人は多い。関東の民藝店などでも、上平竹細工店さんの作品は置かれている。店舗や出店先のイベント主催者と話して、新しい型の作品を作ることもある。作り手さんが減少したこともあり、思わぬ依頼が入ることもあるという。


ほぼ、毎日、工房で制作を続けるお二人だが、二人でやられているため、イベント出店など臨時でお休みのこともある。遠方からいらっしゃる方は、事前にお電話が確実。

今も残る貴重な工房の一つ。しっかりと頑丈な真竹の竹細工は、見ているだけでも楽しいが、日常生活の中で、働く現場で使える、大事な生活道具だ。

取材日 INTERVIEW 2018.12.5 ※施設情報、入荷状況や価格は取材時のものです

二戸地域雇用創造協議会

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