20年、30年使える南部箒で、もっと掃除を楽しく、もっと洋服を大事にする

絨毯のホコリまでかきだせる掃除機に負けない長柄箒や和洋服帚を、独自の技術で1本ずつ丁寧に作り上げている工房。農薬を使わず種から育て選別したホウキモロコシは、土地の寒さ故、先端の縮れが強く、最高級品は1本100万円にもなる。
高倉工芸

九戸村大字戸田9-115   0195-43-2826
https://nanbuhouki.jp/
「オドデ館」で一部商品を購入可
購入等の問合せ:HP、メールから可。他、全国の展示会やギャラリーもあり。

【体験】南部箒(ミニ) づくり体験 
    体験用のミニ南部箒づくりに
    挑戦できる 
【料金】2000 円 
【時間】2 時間程度
【人数】少人数から可(要相談) 
    1か月前までに要予約
【体験可能期間】12~3月

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タカクラコウゲイ

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取材日 INTERVIEW 2018.12.26 ※施設情報、入荷状況や価格は取材時のものです

長柄箒、小箒、和洋服箒…と数十種類の箒を作る工房

九戸村にある南部箒の工房、「高倉工芸」さん。地元でも、全国的にも有名な箒の工房で、テレビの反響で一時、手に入るまで3年待ちと言われた工房さんだ。
九戸村を含む二戸地域では、昔から箒は冬の手仕事として、各農家さんで作られることが多い。ご近所さんからもらったり、産直で販売されていることも。その中で、高倉工芸さんは、独自の高い技術で、絨毯のホコリも掻き出し、掃除機に負けない機能性を持つ箒を作ってこられた。

高倉工芸さんの南部箒は、数十種類にのぼる。大きくは、3種類。一軒家や座敷など広めの部屋によい「長柄箒」。アパートなど部屋数の少ない家では十分な、柄が少し短い「小箒」。洋服の埃を取り、生地を整える「和洋服帚」。その中でも、サイズ、用途、デザイン、素材、穂先の縮れ具合などによって、種類が分かれる。携帯用やペットのブラッシング用もある。

取材に伺った工房にも事務所にも所狭しと箒が並ぶ。
フローリング、畳、絨毯でも小さなゴミまで絡めとる、しっかりとした穂先。20年、30年と使える、ぎっちりと編みこまれた分厚い穂。全国版の女性雑誌にも度々取り上げられるように、デザイン性も高い。高倉工芸さんの箒が他とは異なるところだ。
最高級品は、1本100万円にもなるが、売れ筋の価格帯は2万円~10万円。もう少し、質が良いもので、15万円、20万円と価格が変わってくる。

紐まで全てを自然素材で作り上げる箒も

箒は、基本的に自然素材で作られる。価格帯によるが、箒をしばる紐も綿や絹などを使い、そのまま土に還せるようなものもある。色も、藍染めや柿渋染め、紅花染め等、自然の素材で染められたものを使う。

箒を通じて、技術や文化、土地にも縁ができれば

販売は、主に全国の展示会や取扱店にて。詳細は、高倉工芸さんのウェブサイトに掲載されているため、遠方の方は是非そちらから。年間を通して展示会があるため、行ける範囲に開催予定がある場合は、個別に問い合わせるよりも展示会に足を運んでもらった方が早いよう。

九戸村内では、オドデ館で一部の箒を手に取ることができる。地元や近隣市町村で購入希望の場合は、まずはお問合せを。展示会で不在のことも多いため、ウェブサイト等から種類を見て、メールでお問合せをする方がよいようだ。事前に問合せをしておけば、工房で直接購入もできる。取材の際は、地元の方がギフト用に贈る和洋服箒を購入しいらっしゃっていた。

3年待ちの話を聞いていただけに驚いてしまうが、「最終的には、九戸村に来てもらいたいから」と代表の高倉清勝さんは言う。もちろん、突然の訪問や、原料のホウキモロコシを栽培する夏場、展示会で不在が続く時期は対応が難しいこともある。それでも、九戸村に訪れて欲しいという想いがある。ミニ箒づくり体験も冬の時期は受付けていて、少人数からでも可能。研修で来る方も、観光で来る方もいらっしゃるそう。

そして、その九戸村の、土地の寒さが、縮れが強いホウキモロコシを生み出す。

九戸村の戸田地区。国道340号を走っていくと、高倉工芸さんの看板がひょこっと現れる。看板通りに進んで、工房へ。取材を受けて下さった清勝さんは、遠方での展示会から戻ったばかり。事務所の隣の部屋では、先代の徳三郎さんが、箒作りをされているところだった。

現在の作り手さんは、清勝さん、徳三郎さん、そして地域の女性たちが数名。女性たちは、分業で作業を行う。別の仕事を一度、退職してから携わっている方々で、本格的な箒作りは工房に来てから覚えられたそうだが、昔から箒作りを見ていたり、手仕事が好きで「てんど」がいい人(=手先が器用な人)は覚えが違うそうだ。清勝さん自身も、箒作りは見て覚えたという。「後ろに立ってみてれば、だいたいわかる。あーこういうふうなやり方するんだな、って」。

自ら栽培した原料のホウキモロコシは、目で見て細かく選別する

高倉工芸さんで作る箒は、販売状況によるが、年間約1000~1200本程。1年かけて作られ、原材料のホウキモロコシを栽培するところから始まる。土づくり、種まき、草刈り。そこから収穫し、釜茹で。選別し、編み上げるまで、手作業で丁寧に作られる。

ホウキモロコシの選別は、約15段階。目で見て、縮れ具合と太さ、穂の長さなどを判断する。太さが違うものがバラバラに混ざると、ボコボコしてまとまらず、しっかりとしばることができない。縮れは、よくゴミを掃除できるかに影響する。「縮れたのと縮れないのをまず分ける。そこから縮れの強いやつと弱いやつ。その中からさらにいいものを選ぶ。本当にいいものだけを集めると、1本100万円するような箒ができる」。選別したものを、それぞれの箒に合わせて、使い分ける。

さらに、それをしばり、形にするのも、かなりの技。一度、自分でしばりを体験してみると、高倉工芸さんの編みの細かさは、どうやったのかと気が遠くなるような気がする。「コツなんですよ。いくらパワーあっても、使い方を間違えれば、疲れるし、しまらない。力の弱い人でも、身体全体使って、足を使って、ぎゅーっとしばればできる」。

ホウキモロコシの栽培は、基本的に清勝さん。その間の展示会は避け、行う場合も店頭に自身は立たない。「天候との勝負だから、大変なんです。天気見て、よし今だ!と思ったときに、がーっとやらないと」。種の発芽率があまりに悪くて、蒔きなおしたことさえある。
けれど、その天候が、独特の縮れを生む。縮れは、夏場の冷たく湿った「やませ」が関係しているのでは、と高倉さんは言う。「経験上、寒い時の方が縮れる。今年(2018年)は良かったですね。去年(2017年)は、暖かかったから、量はたくさん採れた。でも、縮れが少ない。今年は、量は少なくて、4割減かな。でも、縮れがめちゃくちゃいい。見て、お~すごい、って思うくらい縮れている」。量が採れなければ、箒は作れないが、縮れがなければ、品質の高い箒は作ることができない。

とはいえ、夏場に動かせない用事も入る。「自分の心との闘いもあるじゃないですか。ちょっと怠けちゃうとか、これぐらいやったら大丈夫だろう、とか。だけど、後から見てみたら、あーあの時、ちゃんとやっとけばよかったって、あるんですよね」。思わず、高倉さんでもそんなことあるんですか…?と恐る恐る聞けば、「あるある(笑)。もとが怠けものだから。でも、そうすると後が大変でツケが回ってくるから、やるべきことはやっておかないと、と思ってやっているけど」と笑い飛ばされた。そんなことが、思いもつかないほど、スケジュールは1年中通して忙しく、新しい挑戦も多く、今後の展望についても話は尽きない。

「25年やっていて、栽培から管理から全部がうまくいったのなんて、1回だけですよ」。前の年にうまくいった方法も、天候が変われば、通用しない。栽培は年に1回だけ。「ベテランって言っても、50年やっても50回しかやってない」。作業には慣れても、天候は思うようにはいかない。「本当にピリピリしながらやってる。ちゃんと手をかけてあげないと、顕著に畑に表れるからね」。

「南部箒」というブランドを確立させた工房

高倉工芸さんは、箒の作り手が少なくなり、技や文化が消えていく中で、先代が箒作りを本格的に始めた。ここまで広まったのは、東京や大阪の物産展に行き、穂先の縮れが強く、絨毯にも使える、と実際に掃いて実演しながら販売をした先代の販売戦略だと、清勝さんは話す。購入した人も、使ってよかったと売り場に来て話してくれることで、支えてくれた。次第にメディアでも多く取り上げられるようになった。

 

もともと、「南部箒」というブランドが地域の中で確立されていたわけではない。絨毯箒と名前を出していたこともあったが、百貨店などでの販売が増えるにしたがって、「南部箒」というブランドを作り上げ、「南部箒」というロゴの商標も取得された。

清勝さんが箒作りを始めたのは、平成4年頃。その翌年に、会社を立ちあげた。「どんぶり勘定的なものでやっていけば、長く続かないし。ある程度、経営者にならないと」。畑の作業機械やハウスなどにも大きな投資をしている。


3年待ちと言われたときは、テレビで紹介され、年間300本ほどを作る小箒に約800本の注文が来た。「夜中も発送するのに、箒数えてたね」と清勝さんは笑うが、少しずつ消化し、今年、ようやく落ち着いてきたそうだ。

今後について伺うと、「技術をどういう形で残せるか、というのを模索してますね」と返ってきた。若い方はもちろん、一度退職したけれど、まだ仕事ができる、というような人にも技術は伝えていきたいという。箒作りを学びたい、と体験に来た人もいる。
もう1つは、商品開発や販路。ヨーロッパ等の海外展開も視野に入っており、生地を整える和洋服箒は海外にも需要があるのでは、と年明けにはフランスへの視察予定も控えているところだった。

「お客さんが使ってよかったなと思うような箒を一生懸命作るしかないので」と語る清勝さん。忙しい日々の中の掃除。手軽にできる、ということはもちろん、一生ものの手仕事の箒は、掃除の時間を豊かなものにしてくれた、と言われたことがあるそうだ。

箒を育む自然豊かな九戸村へ、高倉工芸さんに是非会いに。

取材日 INTERVIEW 2018.12.26 ※施設情報、入荷状況や価格は取材時のものです

二戸地域雇用創造協議会

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