top of page

現代によみがえる縄文の景観・文化・暮らしを五感で体験できる

御所野遺跡は縄文中期、5000年~4200年前のむらの跡。現在は遺跡公園として土屋根住居などが復元され、そこはまさに本物の縄文時代。併設する博物館では周囲の自然を生かした手作り体験も楽しめる。

御所野縄文公園 「御所野縄文博物館」
一戸町岩舘字御所野2   0195-32-2652  
https://goshono-iseki.com/
9:00-17:00(入館は16:30まで)
休み:月曜※祝日の場合は翌日
   祝日の翌日(土日除く)、年末年始
[観覧料]一般      300円
     大学生     200円
     小・中・高校生   入館無料 ※2019年春より改訂

 P ​

ゴショノジョウモンコウエン ゴショノジョウモンハクブツカン

  • Facebook

取材日 INTERVIEW 2018.12.6 ※施設情報、入荷状況や価格は取材時のものです

​(下記1枚博物館提供)

goshono01 (1280x853).jpg

4000年前の縄文時代の世界へ、アートな橋を通ってタイムスリップ

一戸町にある御所野縄文公園とその中に位置する御所野縄文博物館。貴重な縄文時代の資料を保存・公開し、調査・研究する施設だ。緑あふれる公園内には、当時の土屋根住居や掘立柱建物等が復元されており、現代にいながら縄文中期、5000年~4200年前の縄文時代の世界を体験できるようになっている。5~10月の休日にはボランティアガイドによる、無料の案内もあり。平日も予約すれば、ガイドをしてくれる。博物館内には、国重要文化財となっている「鼻曲り土面」を始め、当時の道具や石器、土器、土偶など様々な資料が並ぶ。

…と書くと、どうしても固いイメージを想像されるかもしれないが、御所野縄文公園・博物館は、決してそうではなく、縄文の世界を、誰でも気軽に「体験」できる場所。子ども向けの体験メニューやイベントが多く、もちろん大人にもおすすめ。個人的な意見だけれど、大人の「社会見学」は、大人になったからこそ、けっこう楽しい。手仕事やアートに興味のある方にも、実はオススメのスポットだ。

goshono1.5 (1280x960).jpg
goshono02 (1280x960).jpg

一戸インターから車で5分。車以外のアクセスもあるので、ぜひホームページからチェック。国道4号を入って、少し行けば、すぐに駐車場と、木製歩道橋「きききのつりはし」が見えてくる。建築賞を受賞したデザインで、中から見ても、外から見ても、面白い。橋、というよりタイムスリップするトンネル。ちょっとドキドキしながら、その中をてくてく歩く。御所野縄文博物館自体も、2003年にグッドデザイン賞を受賞している。


橋の先にあるのが、博物館と広い公園だ。

goshono2.5 (1280x853).jpg
goshono03 (970x1280).jpg

取材に対応してくださったのは、スタッフの峠さん。「自分が小学生の時に、ここがオープンして、いろいろな手づくり体験をしたことを覚えています。中学生の時も、土器づくりなどを体験したので、何とも不思議な感じですけど」と笑って話す。

 

約7ヘクタール程あるという遺跡公園内は、当時の住居やストーンサークルが残り、縄文時代の風景が再現されている。御所野縄文公園の特徴の1つは、竪穴住居の屋根に土がのっている「土屋根住居」が全国で初めて見つかったところ。そのため、住居などの復元に力を入れている。見つかった住居の焼け跡が、土屋根だったことを確かめるために、実際に復元した住居を焼いた実験もしたことがある。実際に住居を焼いた映像を見ると、けっこうな迫力だ。「まず、自分たちでやってみる、というのが御所野のスタンスです」と峠さんも話す。

 

耐久性を高めるために、住居内で火を焚き、いぶしている様子も1日置きに見学できる。公園内には、クリやトチノキなど当時、食べられていただろう樹木も並び、奥にある住居まで回ると、外だけで40分ほどかかる。天気が良ければ、ピクニックもお勧め。当たり前のことだけれど、縄文時代に、全く知らない誰かが、でも確かに、ここで生活していたのかと思うと、ちょっと不思議な気分だ。

goshono03 (925x1234).jpg

縄文時代に、既に完成形があったと考えられている竹細工

博物館内には、御所野縄文遺跡や一戸町内の他の遺跡から見つかった資料などが展示されている。現在、県内外から注目を集める「漆」や「竹細工」が、縄文時代から使われていたことを示す痕跡も、遺跡から見つかった。漆がついた土器の一部が御所野遺跡から出土していたり、現在の竹細工と同じ、スズタケを使ったのではないかと思われる編み物の痕跡も見つかっている。

 

現在もその良質さで人気の一戸町鳥越地区の竹細工だが、その質の高さは遥か昔からあったという。博物館のスタッフさん曰く「縄文時代にあった竹細工が進化して、今の竹細工になった、と思われる方が多いんですけど、逆に、縄文時代や昔の時代に竹細工は既に完成していたんです」。その頃の技術を私たちは、学んでいる。館内を案内してくれる峠さんも「今の竹細工の技術もすごいと思うんですけど、地域の作り手の方は、縄文人の方が、(編み方などつくりが)絶対すごい、って言われることもあります。確かに他の縄文時代の遺跡とかを見ても、これは、どうやって編んだんだろう、と思うようなものばかり出てきます」。

goshono3.5 (1280x961).jpg

取材にお伺いした際は、漆蝋の展示もあった。二戸市の浄法寺が産地の漆。その「実」から、昔は蝋を製作していた。和蝋燭だ。

goshono04 (1280x961).jpg
goshono05 (1280x961).jpg
goshono06 (1280x961).jpg

景観だけではなく、暮らしも自分でまずは体感してみる。体験のできる博物館

プラスチックや金属などの代用品が多い現代とは異なり、縄文時代の頃は、様々な生活道具が自然素材から作られた。博物館内では、公園内や近隣の自然素材を使った様々な種類のものづくり体験ができるのが、楽しいところ。予約不要で1人で出来る体験もある。オープンの時から「体験のできる博物館」として力を入れてきたそうだ。

 

体験メニューは、大きく3つに分かれる。土器づくりや樹皮編みなど気軽にできる「手づくり」メニュー、ストールの自然染めや藍染めカレンダー作りなどの「こだわり」メニュー、その季節ごとの素材を使った「季節」のメニュー。定番のものもあるが、その年によって少しずつ、体験内容は変更されるそうだ。博物館内、入口横の階段をあがってミュージアムショップを抜けると、体験工房の部屋がある。部屋の前には、体験メニューがずらり。体験したい場合は、1階の受付でスタッフさんに声をかければOK。

goshono008 (1280x1250).jpg
goshono07 (1280x961).jpg

土器づくりに、樹皮でつくるストラップや縄文編みなどものづくりがたくさん

この日は、お正月飾りの体験準備をされているところにお邪魔した。棚には、今までにやった体験の作品が並ぶ。今はもう行っていないものや、地域のイベントでのみ行ったものもあるそうだが、見ているだけでも面白い。

goshono09 (1280x950).jpg
goshono10 (1280x961).jpg
goshono11 (1280x961).jpg
goshono12 (1280x961).jpg

これは、以前行っていた「縄文太鼓」。叩くと、とととん、と軽快な音がなる。

goshono13 (1280x961).jpg

土日祝限定の手づくりメニューは、予約不要で1人からでも家族でも大丈夫。中には季節限定のものもあるが、旅先で「何かものづくりをしてみたい」と思って、すぐに出来る体験は二戸地域には少ない。子どもでも、大人でもお気軽にどうぞ、とのこと。平日も予約をすればOK。

 

これは、小学4年生以上が可能な、土器づくり体験。本格的な土器が作れて、乾燥後に焼き上げた後に連絡をもらえる仕組み。土器づくりの粘土は、公園内の粘土を使っている。掘り出した粘土と土と砂を混ぜ、土器づくりに使えるものにしている。体験に使う自然素材は、基本的に博物館のスタッフさんが準備をしている。

goshono14 (1280x961).jpg

クルミの樹皮を使った一輪挿し。今の体験では、樹皮をはいで作っているが、これは中の幹だけを打ち抜いたもの。

goshono15 (961x1280).jpg

樹皮のストラップ。製作したばかりの頃は、樹皮の肌触りだが、使って触っているうちに磨かれ、手に馴染む感触になってくるのが、いいのだという。

goshono16 (1280x961).jpg

写真の中央は、勾玉づくり体験。その右横は、お守りづくりで、凝灰岩に模様を彫って作る。うさぎのようなマスコットは、土笛。粘土で実際に音の出るものを作ることができる。作った笛によっても、少しずつ音が異なるそうだ。写真の左側は、縄文編みのコースターと繊維のストラップ。

goshono17 (1280x961).jpg

縄文の手仕事は過去のものではなく、つい最近まで続いている日常

縄文編みは、「あんぎん台」と呼ばれる編み台を使って、麻糸や木の繊維で編む。この「あんぎん台」の編み台、おお、縄文時代の…、と思ってしまうが、今でも、農家さんの家などには、残っていることがある。幼い頃に、使っていたのを覚えているという方もいる。確かに縄文の文化を知る編み台でもあるが、同時につい最近まで使われていた、生活の道具。ちなみに、いくつかある「あんぎん台」は、一戸町で組子細工を製作されている山井木工さん作。

goshono18 (1280x961).jpg

あんぎん編みや繊維のストラップづくりで、よく使われる、シナノキ。見た目は、普通の樹木なのだが、水に漬けておくと薄い皮のような繊維に分かれる。それを洗って、乾燥させる。この繊維も、今では珍しくなってしまったけれど、紐にしたり、編んで袋状にしたり、服にもなる。地域のおじいちゃんおばあちゃん世代には、珍しい素材ではない。御所野縄文公園内で復元した住居も、シナノキの繊維で作った縄を使って、木を組んでいる。


縄文時代の、と言うと、その時代の遺跡から掘り出されてきた過去のもの、と思ってしまうかもしれないけれど、そうではない。その縄文時代から、続いてきた今の生活に繋がっているもの。自分たちのルーツ。誰かが生きて、繋いできた証。

goshono19 (1280x961).jpg

手づくりメニューは、子どもや親子連れが多いが、大人の人でも、もちろんOK。実際に、大人1人で体験していく方も少なくない。要予約のこだわりメニューや、その時にしかできない季節のメニューは、手仕事に興味のある女性の参加が多いそう。ストールやアクセサリーなど大人の女性がうれしい体験も多い。シナノキまるごと体験など、本当に素材の準備から体験できるものもある。詳しくは、ホームページからぜひ。

goshono20 (1280x961).jpg
goshono21 (1280x961).jpg
goshono22 (1280x961).jpg

手仕事のルーツを探る展示や、からだ丸ごと包まれるプロジェクションマッピング

体験はもちろん、資料展示も、よくよく考えてみれば、全てが縄文時代の「手仕事」だ。現代では、機械化されたものと人の手で作られたものを分けて考える。けれど、かつてはそうではなかったはず。土器でも植物を表したと思われるものなど、どうやってこれは作ったんだ…?と思うものがしばしば登場。最近は、縄文時代のものを見て、「可愛い」という人も多い。

goshono23 (1280x961).jpg

御所野縄文博物館に展示されているものは、御所野遺跡で発掘されたもの他、一戸町内に複数ある遺跡で出土されたものが展示されている。もしかしたら、自分がいつも歩いている地面の下にも、縄文時代の遺跡があるのかも。

これが、有名な鼻曲り土面。

goshono24 (1280x961).jpg

展示のメインの1つに、プロジェクションマッピングがある。これも、体験。
縄文時代を映像と音響で再現したものだが、部屋全体に音が響き渡り、なんだか不思議な気分だ。

goshono25 (1280x812).jpg

ミュージアムショップにも、手仕事の品が

​(上記1枚博物館提供)

ミュージアムショップも、素敵なところだ。地域の手仕事の品があり、なんと藍染めの素敵な作品も。かつては、二戸地域でも藍染めをしていたというが、今でも作られ、商品として販売されているのは、珍しい。御所野縄文公園の発掘などに携わる地域の方々の作品だ。値段もお手頃。
他にも、縄文にまつわるお洒落な雑貨や、お菓子も販売されている。

goshono26 (1280x961).jpg
goshono29 (961x1280).jpg
goshono30 (1280x961).jpg

館内には、外が見渡せる場所も。取材時は、冬だったので、真っ白な世界。
景観に配慮し、外に復元した住居等を説明する看板などはない。春から秋にかけては、ボランティアスタッフさんに案内していただきながら、説明を聞くのがおすすめ。

goshono31 (1280x961).jpg

縄文の世界へ、ようこそ。

見学するだけではなく、ここは自分で「体感」をしてみる場所。自分がはるか昔から続いてきた世界の中に生きているんだと、学ぶ場所。博物館を見て回って、縄文中期、5000年~4200年前に誰かが一生を生きた住居を見る。きっと、ふっと見えてくる遥か昔の世界がある。

取材日 INTERVIEW 2018.12.6 ※施設情報、入荷状況や価格は取材時のものです

bottom of page