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一戸町の工芸品が集まる、自分の一点を見つける

鳥越の竹細工、裂織、木工品など一戸町の代表的な工芸品が作り手の規模に関わらず、多種多様に集まり、展示・販売されている。作り手が順番で店当番をしており、直接お話が聞けるのも楽しい。
いちのへ手技工芸館
一戸町一戸字越田橋11-1    平日:0195-33-2111 土・日曜:0195-33-3993
土日のみ営業 10:00-16:00 (事前予約で平日も営業)
※臨時休館有

テワザコウゲイカン

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取材日 INTERVIEW 2018.11.11 ※施設情報、入荷状況や価格は取材時のものです

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一戸町で「ものづくりの旅」をするなら、ここから始めてみる

鳥越の竹細工で有名な一戸町。竹細工だけではなく、木工や織物など豊かな自然を活かした「ものづくり」の作り手が数多くいる地域だ。そして、その作り手が集まるのが、いちのへ手技工芸館。竹細工、木工品、織物などの作品が、個人工房のものも含め集まり、展示販売されている。資料的に残された工芸品等の展示もあり、一戸町にどんな工芸品や手仕事があるのか見てみたい、という方が最初に訪れるのにも、おすすめの場所だ。

基本的には、土日のみの営業だが、事前に電話予約をすれば、平日でも開けてくれる。また、イベント出店で臨時休館することもあるため、遠方からの方は、電話での確認をおすすめ。

 

一戸インターから2分、あるいは一戸駅から車で4分ほど。車やタクシーでのアクセスが便利。春~秋にかけては、一戸駅にレンタサイクルもあるそうなので、興味がある方は駅へお問い合わせを。近づくと、大きく「いちのへ手技工芸館」と書かれた建物が見えてくる。

見た目は、地域の公民館のような普通の建物。

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入口から入ると、まずは、右手に階段。これを昇ると、展示販売スペース。そして左手には、裂織工房の部屋。裂織の作品を製作しつつ、見学や体験も可能な工房だ。コースター等の小物を作る体験は500円程度~で、1か月前に要予約、詳しくは、裂織工房の記事へ。見学はいつでも可能、気軽にふらっと立ち寄ることができる。
最初はちょっと緊張するかもしれないけれど(取材スタッフもそうでした)、コンコンと扉をたたいて、「見学してみたいんですが」とお声を是非。

2階へ上がり、扉をあけると、展示・販売スペースが広がる。その日の当番の方が、「こんにちは」と声をかけてくれる。ここの当番は、作り手さんや関係者の方が、順番に務めている。自分が欲しい作品の作り手さんにうまく当たれば、詳しく話を聞けるし、そうでなくても、一戸町のものづくりや他の作り手さんにも詳しい方は多い。お忙しそうなときは別だけれど、チャンスがあれば、お話を楽しめる空間。

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この日、取材対応をしてくださったのは、館の代表を務める柴田久栄さんと、初期の頃から携わられてきた山井木工の山井静子さん。

取材をお願いした際には、「俺はもう賞味期限きれてんだけどなぁ」と冗談を飛ばされていた柴田さんも、夫婦で経営されている山井木工の販売面を担当されている静子さんも、お話が上手な方々だ。

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鳥越の竹細工、組子細工、裂織、天蚕の布、木工品…と様々。掘り出し物も。

まずは、もちろん鳥越の竹細工。ただ、原料のスズタケは数十年サイクルで花が咲き、枯れ、また生えてくる、を繰り返す。2018年頃にスズタケが一度、枯れたため、原料の確保が難しくなっている。自然の流れだが、作品数も減少しており、もし出会えたら、貴重な作品だ。
作り手さんは、様々。作品のデザインも様々。

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建具や組子細工を製作する山井木工さんは、大物から小物まで様々。

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もちろん、1階の裂織工房で製作された作品も。

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一戸紬まゆ玉会さんの貴重な天蚕製品や、高度な技術の織物も並ぶ。

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一戸町の面岸で作られる戸部さんの箕。 (箕づくりの戸部定美さんの記事はこちら

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阿部木工さんのアイディア満載の木工品。

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その他にも、様々な作り手さんの作品が並ぶ。個人の作り手さんが多いこともあり、その時々によって商品が変わることも多い。

この館を通して、各作り手さんへの問合せも可能。常時体験を行えるのは、裂織工房さんのみだが、イベントや地域の集まりなどでの出張体験に応じている工房さんも中にはあるので、気になる方はお問い合わせを。

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「手探りの手づくり」作り手自身が作り上げてきた手技工芸館

いちのへ手技工芸館ができたのは、2003年。一戸町特産品協議会という一戸町内の食品も含めた製造企業や生産者などが集まる団体が始まりだった。町の地域おこしや活性化を目的として、県外のアンテナショップや地域産業のテーマパーク等を視察するなどして勉強をしていた。そのうち「早く自分たちで何かやらないと、歳取ってしまうから」と山井木工の静子さんは笑って当時を話すが、自分たちでは町のために何をしようかと考え、作られたのがこの館だった。

その頃、ちょうど、商工会館だった今の建物が空くことになり、行政の力も借りながら、自分たちで一から「いちのへ手技工芸館」を整備したそうだ。什器や建具などは、山井木工さんが主に製作。「手探りの、手づくりでしたよ」と静子さんは、笑う。


最初の頃は売上も厳しかったそう。作品の種類も増やし、地域外での出店なども行い、だんだんと認知度をあげながら、今の館がある。現在は、事務局を一戸町役場に置き、実際の運営は、出品する作り手さんや関係者たちで行っている。イベントで知ったお客さんやメディアで取り上げられることも増え、地元はもちろん、遠方からお客さんが来ることも多い。県外での大きなイベントにも出るようになり、その準備や作品の確保にも忙しい。「イベントでいろいろ歩いて回って、お客さんと知り合って、遠くからもいろんなお客さんが来てくれるのは、本当に有難い」と柴田さん。

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1回買って終わりじゃなくて、その後も続けてきてもらえるようにしたい

柴田さんの今のご本業は農業。昔は農業高校の先生をしていたこともある。クラフトマップでも取り上げた産直サラダボウル・こずやさんにも出荷をしていて、人気は大根を燻した「いぶりたくあん」。柴田さんのこだわりが詰まった商品だ。手技工芸館に携わり始めた頃は、産直農産物の販売に携わったことはあっても、工芸品等の作り手ではなかった。外部有識者という立場で協議会に関わっていたところ、「代替わりの時に、たまたま幹事長になってしまって」と笑う。ただ、やるからには、「作り手さんたちが作った世界で一つしかないこだわりの製品を売ることをちゃんと考えたい」と思ったそうだ。それが今でも続き、運営や販売の面を主に担当されている。


立ち上げの頃、売上が厳しかったことも経験しているため、今後はもっと人に来てもらえるように工夫していきたいという。「1回買って終わりじゃなくて、その後も続けてきてもらえるようにしたい」。地元の学生が見学や体験に来ることもあり、「伝統工芸を一人でも引き継いでくれたらいいと思ってます」。

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町内で、これだけ一度に工芸品や手仕事の品に出会えることはなかなかない。品揃えも様々で「飾り物ではないから、日常の中で使ってほしい。毎日の生活の中になくてはならないように、普段の生活で使ってほしい」と柴田さんも話す。普段は製作で忙しい作り手さんと気軽に出会える場所も貴重だ。掘り出し物に出会えることもある。

 

ものづくりの旅、作り手さんに会いに行く旅、それをここから始めてみる。

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取材日 INTERVIEW 2018.11.11 ※施設情報、入荷状況や価格は取材時のものです

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