19市町村の工芸品・手仕事品が一度に選べる
盆踊りに名前を由来する二戸駅直結の土産センター。漆器や竹細工、木工品など北東北3県19市町村の代表的な工芸品が一同に集められている。漆はちみつなどの食品や地酒、菓子なども同じく豊富に揃う。
なにゃーと物産センター
二戸市石切所字森合68 0195-22-4395
8:30-19:00 https://nanyato-bussan.jp/
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取材日 INTERVIEW 2018.11.9(写真は別日撮影あり) ※施設情報、入荷状況や価格は取材時のものです。
北東北3県19市町村の「ものづくり」が集まる新幹線駅直結の店舗
カシオペア地域で唯一の新幹線駅、二戸駅。そこに直結する「なにゃーと物産センター」は、工芸品から、お菓子や地酒、食品等、お土産品が一通り揃う。観光客はもちろん、ビジネス客、地元の人のおもたせ等に利用される便利なお店だ。
他の駅のお土産屋さんと少し違うかな、と思うのは、特産品の地域の幅が広いこと。青森県南、秋田県北東、岩手県北の3地域19市町村の品が揃っている。各市町村の得意分野があるので、どのカテゴリーも19市町村分があるわけではないが、できるだけそれに近い品揃えを目指している。
工芸品や手仕事のコーナーは、入口の奥の方なので、すぐに見つかる。漆の注目度が高まってきたこともあり、2018年4月にリニューアルOPENした際、特に力を入れたコーナー。1点ものの工芸品も多いため、品揃えは時期によるが、できるだけ広い範囲で工芸品や手仕事の品物を集めている。中には、地域内では、ここでしか現物を手に取れない工房の作品もある。
漆器は、滴生舎と坂田漆器店。お箸等の小物もよく出るという。
地元の若手が頑張っている、ポトラガーデンの漆染め。
一戸町の鳥越の竹細工や箕。箕は、一戸町の戸部さんが作る、穀物をふるう農具のこと。竹細工も注目度は全国的に高い。
プラム工芸さんの斧折樺(オノオレカンバ)。堅くて斧が折れる程の木から、作られる滑らかなカトラリーや靴べらは、全国にファンがいる。
軽米町の平さんの藁や草の細工。作る人が、年々減っていく細工の一つ。
長山工芸さんの行燈の見本や奥州天台寺窯さんの作品。ここは、どちらも遠方への販売が多いので、作品が見られるところは、珍しい。
名前は、伝統的な盆踊り「なにゃとやら」から
その他の地域の作品も並ぶ。それぞれの価格は、ちょっとしたお土産に、とできる手頃なものから、工芸品として安くないものまで様々だ。けれど、スタッフさん曰く「(地元の人から見ると)ちょっと高い価格でも、ひょいと売れていくことがある」そうだ。新幹線駅のため、関東など遠方からのお客さんも多い。
都会では、もっと高い価格になってしまうものもあるし、そもそもモノ自体があまり出回っていないこともある。一期一会の場所だ。
お店で購入したものは、発送もできるし、一部商品はウェブサイトから通販もある。
ちなみに愛称の「なにゃーと」は、地域の盆踊り「なにゃとやら」から取られている。旧南部藩の各地に伝わる踊りで、夏になると「なにゃとやら」の不思議な唄で地元の人が、踊りあかす。
年に一度の「手仕事展」は、作り手が直接販売し、実演もある人気イベント
年に一度、秋~初冬にかけて、なにゃーと物産センターが主催する「手仕事展」。2018年で9回目を迎え、「今年はいつやるの?」と近くなってくると問合せがくるようにもなった。ここまで続くとは、あまり予想していなかったスタッフさんも「やめらんなくなっちゃいましたね」と笑う。
関東にも進出するような有名な工房がある一方で、どうしても売り先の多くは、地域の外になる。地域内にお店があっても、馴染みがない人も多い。地域の中でも何かイベントを、と始められたのがきっかけだった。最初は、数件の工房や職人さんで小さくやっていたイベントが少しずつ大きくなった。
作り手が直接、店を出店するため、話もしやすく、草履を編んだり実演などもある。秋田や近隣地域からも出展を募るので、知らないところを知ることもできる。職人展やクラフト市、工房見学の盛んな時代になったとはいえ、なかなか忙しい作り手と作品について、話をできる機会は多くない。
ちなみに、普段は全国を飛び回っている有名工房の方がいたりすると、ちょっと感動ものだったりする。八戸など、遠くからお客さんがやってくることもある。
とはいえ、運営も決して楽ではない。年々、高齢化が進むのも現実。新しい人が出てくる一方で、去年までは出てくれた職人さんが、今年からはもう出られなくて、肩を落とすこともあるそうだ。昔は、鍛冶屋さんも桶屋さんもいた。忙しすぎて、イベントに出てこられない人もいる。
けれど、取材時には「今年は少し新しい人が増えるかな」と、嬉しい言葉が聞けた。
「食」の「手仕事」もいっぱい
クラフトマップが取り上げるのは、工芸品や生活道具の手仕事だが、「食べ物」の手仕事も地域には多くある。南部せんべいに、日本酒の地酒、蕎麦などの麺類、高原の乳製品、農家さんのジャム、ローカルな菓子屋さんの、ローカルな人気のおやつ…、とここには、種類豊富。パッケージも、昔ながらのレトロなものから、お洒落なデザインのものまで。
生活道具の手仕事に関係するものもある。「ウルシ」の蜂蜜は、名前の通り。日本酒は、是非、漆器のおちょこで。味まで変わるという。蕎麦は、食べるときも作る時も、手仕事の食器が使える。
今後も、引き続き、19市町村の商品を集めていくとのこと。手仕事展は、近くなるとポスターが貼られたり、ウェブサイトでも日程が出てくるので、是非チェックを。旅の途中、あ、っと買い忘れた、と思っても、どうぞお帰りは、ご安心を。ようこそ、いらっしゃいませ、おかえりなさい、いってらっしゃい、また来てね、そんなメッセージがお店につまっている。
取材日 INTERVIEW 2018.11.9(写真は別日撮影あり) ※施設情報、入荷状況や価格は取材時のものです。